旧前田邸和館

旧前田利為侯爵邸の一部で、隣接の洋館（都文化財指定建造物）と渡り廊下でつながっている二階建て純日本風建物で、昭和５年（１９３０）に竣工しました。

内部は、書院造りで玄関から二の間、その奥は一の間（表座敷）と続き、重厚な床の間、違い棚、付け書院があります。欄間の透かし彫りは美しく、全体の雰囲気が清楚で気品を感じます。奥には数寄屋造りの茶室があり、その前庭に最近水琴窟がつくられました。一の間の広縁から眺める庭園は滝・池・樹林・名石の配置がよく、駒場野の自然林を背景に美しい名園の面影を留めています。

第２次大戦後、しばらく洋館とともに米軍のリッジウェイ極東軍司令官等が官邸として使用していました。

前田家では、ふだんはこの和館を使用することはなく、ひな祭りや端午の節句、お茶会や和食の会などを催す時に使われたといわれています。

目黒区教育委員会