再生医療の現状−1
再生医療は失われた器官や臓器を体外で培養した細胞により再生し、患者の体内に移植する治療方法で、最近の新聞、TV、ネットの報道内容を検討すると各分野で進展していることが分かる。
文科省の「iPS細胞を用いた再生医療研究ロードマップ」によると器官・臓器別に臨床開始予定時期が設定されている。中枢神経系(平成27年)、角膜(平成27年)、網膜色素上皮細胞(平成24年)、心筋(平成27年)、視細胞(平成28年)、血小板(平成27年)、赤血球(平成31年)、造血幹細胞(平成28年)、骨・軟骨(平成31年)、骨格筋(平成31年)、内胚葉系細胞(平成31年)、
参考:外胚葉(神経、目、表皮)、内胚葉(胃、小腸、肝臓、膵臓)、中胚葉(筋肉、骨、血液、皮下組織、心臓、腎臓)、
NEDOが中心となって、細胞の培養、臓器の形成、保存・輸送などの工程を産学連携で行い2018年の実用化を目指す。心筋・神経を富士フイルム、京大、慶大、網膜・幹細胞をニコン、阪大、東京女子医大、軟骨をニプロ、太陽日酸、東大、心筋梗塞治療をCLIO、東北大、名大など。
これまで関係各省により計画された再生医療計画の進捗状況は予定より遅れているので、上記の計画通りには期待できないが、進みつつあるのは事実。
再生医療の中でも難しい分野になる脳の血管、神経については、再生しないことが常識であったものが、最近では再生可能であると修正されている。TVでも紹介されたようにアルツハイマー治療には、@脳梗塞の薬、シロスタゾールにより脳内に蓄積されたアミロイドβが血液に流されて減少する。Aインスリンを鼻から吸入することにより認知機能の低下が抑えられるなどがあり、また、B青魚のEPA/DHAを摂取する、C運動と計算などの複数の働きを同時に行うことなどが推奨されている。アルツハイマーの原因とされるアミロイドβは、D脂肪由来間葉系幹細胞より出されるエクソソームにより分解されるので、今後はこの脂肪由来間葉系幹細胞によるアルツハイマー治療が注目される。
長寿の人々の免疫細胞は若者の様に活発に動いており、ガンなどの疾患に罹り難いことが特徴とされている。通常は老化と共にT細胞が減少して免疫細胞全般の活動が落ち様々な疾患に罹りやすくなる。京大ではこのT細胞をiPS細胞により作製することに成功しており、今後はT細胞の補強により免疫細胞が強化され長寿が可能になることが期待される。
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