東京都指定有形文化財(建造物)
旧朝香宮邸(東京都庭園美術館)1棟
朝香宮(あさかのみや)家の本邸として、昭和八年(1933)五月に竣工した建物である。一部内装の基本設計はフランスの装飾美術家アンリ・ラパンが担当し、実施設計は宮内省内匠寮(たくみりょう)工務課技師の権藤要吉らが分担して行った。
建物の規模は地上二階(一部、中三階)、地下1階。建築面積1,048.29平方メートル。主体構造は鉄筋コンクリート造りである。
建物は昭和二十二年(1947年)まで朝香宮の本邸として使われていたが、室内装飾には二十世紀の初めの最も先進的で、最後の装飾芸術であったアール・デコ様式が随所に採用され、新鮮で華やかな意匠に満ちていた。
現在は美術館として使用されているが、内部の改造は僅少でアール・デコ様式を正確に留め、昭和初期の東京における文化受容の様相をうかがうことができる貴重な歴史的建造物である。なお、室内のガラス装飾は装飾工芸家ルネ・ラリックの作品として有名である。
東京都教育委員会
朝香宮夫妻は1925年のパリ万博(その当時の最先端であったアールデコ万博とも呼ばれた)を訪問されてその様式に魅かれて、関東大震災後(大正12年)に邸宅を再建する際にアールデコ様式を本格的に取り入れた本邸宅を建設された。
アールデコは、植物的な装飾を取り入れたアールヌーボーに対して、最先端の工業力により同じデザインの材料が制作可能になった為に同じデザインの物を繰り返し使用することにより多彩な模様を作り上げている。
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