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災害と地下鉄:

「杞憂」は杞(中国)の人が、天が落ちてくるのを心配したことから生まれた言葉で取り越し苦労の意味になるが、現代の日本では首都直下地震、富士山の噴火、北朝鮮のミサイル直撃と取り越し苦労とは言えない危険が身近に迫っている。

首都直下地震の最大の問題は火災であり、この為に広域避難地が指定され、そこまで火に巻き込まれないように逃げることが定められている。しかしながら、木造住宅密集地域では広域避難地に無事に到着するかどうか大きな問題になっている。

富士山の噴火では火山灰による被害で電気、ガス、水道などのインフラが停止し、物流が使えなくなり食料品などが配送出来なくなる。この為には家族の1週間分の水と食料を備蓄することが望ましい。

北朝鮮のミサイルについては今のところ政府から避難方法が出ていない。これまではそれ程現実的ではなかったが、北朝鮮の現況を考えると最早杞憂とは言えない。広島の原爆は半径5KMの被害が最も大きいとされたが、現在の原爆は比較にならないほどの破壊力があるとされている。

これらの危険性を考えると避難方法の重要な解決策として地下鉄のトンネル活用が考えられる。(但しゼロメートル地帯での地震における津波対策には危険であるのでこの場合を除く。)

木造住宅密集地帯でも地下鉄は広範囲に走っており、地下に逃込めば地震に伴う火災から逃れられる。富士山の噴火対策としては備蓄さえしっかりすれば避難場所になり得る。一番効果的なのは北朝鮮のミサイル対策で地下に深く潜るほど安全になる。

地下鉄は一般的に言って新しい路線ほど深く地中を走っているので、銀座線、丸ノ内線より千代田線、特に大江戸線が深い。小田急の下北沢、世田谷代田間では普通用、急行用とトンネルが二階建てになっているので環七に沿った木造住宅密集地域ではここに逃込むことも考えられる。

東京都交通局地下鉄関連情報には災害対策の項目があり自然災害に対する備えが記載されているが、この内容は地震の際の運転停止や、乗客の誘導、浸水対策として防水扉の設置などで、外からの避難者の受け入れに対する説明は無い。

乗客は守るが外からの避難者は受け入れないと言う事だと危険がせまって来た時には地下鉄に乗り、地下鉄より出ない方が良いと言う人々も出てくる。

地下鉄で配布している(ネットでも見られる)防災ハンドブックに災害対策が出ているので、読んでおく必要がある。その中で参考になりそうなのが、「駅構内を一時的な待機場所としてご利用戴けます。また水や携帯トイレなどの備蓄も各駅に配備しており、必要に応じて提供致します。」とあるが一時的な対応として長時間の対応は期待出来ない。

スイスの核シェルター普及率は100%であり、米国では82%(東西冷戦時代に建設されたものでその多くが老朽化している。)、シンガポールが54%、東京が0.02%になる。東京の様に集合住宅に住む人々の比率が68%になると全員にシェルターを準備することは難しい。

大騒ぎをする必要はないが、上記の災害対策として地下鉄トンネルの利用方法の検討をしておく必要がある。地下鉄関係者の方々は出来るだけ早く方針を決めて国民にお知らせ願います。

普段何気なく乗っている地下鉄であるが、災害時には地下鉄に乗っている方が安全であるということになれば地下鉄に乗る人々が増え、地下鉄があって良かったと感謝する人々が多くなるに違いない。


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