旧前田侯爵邸洋館、建物の由来
この建物は、旧加賀百万石前田家の第16代当主前田利為氏の本邸として、昭和4年(1929)に欧州建築の粋をあつめて建築され、当時東洋一の邸宅と称せられました。
設計は塚本靖東京帝国大学教授。高橋禎太郎宮内省技師が担当し、外国の貴賓を迎え入れうる洋館として、駒場の田園の野趣にあわせたイギリス・チューダー式がとりいれられました。
この様式は、イギリス後期ゴシック様式を簡略化したもので、玄関ポーチの扁平アーチにその特徴を見せています。外観は、当時流行した長手のスクラッチタイルを貼り、落ち着いた雰囲気を漂わせています。また内部は一変して王朝風に装飾が施され、各室はイタリア産大理石によるマントルピースや角柱、壁画にはフランス産絹織物や壁紙を貼り、イギリス家具などを配したヨーロッパ調でしたが、こうした洋風の室内に江戸情緒をのぞかせる、唐草に雛菊をあしらった文様なども見られます。−−−(洋館内掲示より)
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