旧前田侯爵邸洋館
旧加賀藩主の系譜をひく前田家の本邸として、昭和四年(1929)五月に竣工した建物である。設計者は東京帝国大学教授塚本靖であったが、実際の設計は技師高橋禎太郎が担当した。
建物の規模は地上三階、地下一階。建築面積は1,129.4平方メートル。鉄筋コンクリート造で、外壁はスクラッチタイルを貼り、アクセントに大華石を用い、屋根は銅版葺きである。
前田侯爵邸は昭和20年(1945)9月、連合軍に接収され、極東軍司令官の官舎として使われていたが、昭和42年(1967)4月、東京都近代文学博物館に衣替えし一般に公開された。
この建物は大正末から昭和初期に建てられた大邸宅建築を代表する一つで、機能性を重視し、当時における最新技術を駆使している。内部の改造は少なく、竣工時の雰囲気を良く留め、上流社会の生活を偲ぶことができる貴重な歴史的建造物である。
東京都教育委員会
J.コンドルが設計した代表的建築物
上野博物館、鹿鳴館、ニコライ堂、三菱一・二・三号館、旧岩崎邸庭園、三菱関東閣、岩崎弥之助湯本別邸、三井倶楽部、清泉女子大学本館、旧古河庭園、
コンドル門下の建築家
辰野金吾(東京駅、日本銀行、国技館)
片山東熊(赤坂離宮、奈良・京都帝室博物)
曾禰達蔵(慶応大学図書館、東京海上ビル)
佐立七次郎(日本郵船小樽支店)
渡辺謙(帝国ホテル、旧前田侯爵邸洋館)
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