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日本の財政はどんな形で再建されるのか。

2016年の対GDP比債務残高の国際比較 (OECD)
日本 232.4、ギリシャ 200.0、イタリア159.9
終戦直後に預金封鎖と財産税が付加された当時のGDP比債務残高は約2倍でこの当時に良く似た状況になっている。


1.歳出削減、歳入増加、経済成長による健全化

誰でも認めるスタンダードな財政再建策で、英国でもこの基本政策に則って財政再建を果たしつつある。歳出削減策としては、福祉支出の削減・国や自治体の公務員の削減・国民年金の支給開始年齢の引き上げ・大学への補助金カットなどがあり、歳入の増加としては付加価値税の引き上げ、経済成長対策として、所得税の控除拡大・法人税の削減などが行われている。
いずれも日本で実行可能だが、歳出削減、歳入の増加などは大きな抵抗が予想される対策になる。

アベノミクスも成長促進策として、財政政策、金融政策、構造改革を打ち出しているが、一番のポイントである構造改革が進んでいない。このことはよく指摘されることであるが、問題点の列挙とその対策、行程表などの具体策が出ていない。

2.インフレによる債務の実質的な削減、

アベノミクスが最も注力しているポイント思われ、日銀との連携により、国債の発行と日銀による国債購入、マイナス金利、年金による株の大量購入など、従来の考え方では禁じ手と言われている政策が次々に出てくる。これでインフレを作り出せば政府の債務は実質的に削減されるが、現時点で既に預金封鎖と財産税を行った戦争直後の債務対GDP比率と同様になっている状態から、更に悪化して国家破綻を招きかねないことになる。

3.預金封鎖、財産税による財政再建

戦後行われた財政再建手段で、国民に流通している通貨の高額紙幣を強制的に銀行に預金させて引き出しを禁じ、生活費の一部だけを新円で引き出し可能とし、一定期間経過後残りの預金は引き出し不可とする。これは流通していた通貨の価値を殆ど無価値にするもの。また、90%など高率の財産税を設けて政府の収入を短期間に増加させる。

日本が破綻することは無いと高をくくると、これに備えた人たちとは大きな差になる。実際に、若い人達は年金を当てにせず自分で消費を減らし出来る限り貯金をして将来に備えている、金庫を購入して現金・貴金属を手元に置く人々が多くなっている、三菱東京UFJは日本国債引き受けを条件とするプライマリーディーラーより降りる、お金持ちは海外に居住地を移す、財務省では預金封鎖のシミュレーションをしたなどあちこちにその兆候が見える。

参考までに、2016年11月8日インドでは金額ベースで9割になる2種類の高額紙幣の廃貨に踏み切った。TVで11月8日夜その旨通知し、9日は銀行休業日、10日より銀行で新紙幣に切り替え、旧紙幣は使用できなくなった。これは富裕層が手元に現金を残して取引の実態を政府に把握させず節税が横行していたことによる。この趣旨は上記の預金封鎖とは異なるが、日本政府としても他国で通貨切り替えが行われれば色々な名目を付けて日本でも実行しやすくなる。


参考記事:DeNAのまとめ記事問題
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