(街歩きを100倍楽しくする方法)
街を歩いていると全ての風景にそれなりの意味があり、多くの人々の人生が凝縮された結果であることが分かる。この凝縮された人生の積み重ねを読み解くことにより街歩きが面白くなる。洞察力が深ければ深いほど街歩きの面白さは大きくなる。
街歩きをする際に数人で得意分野が異なるチームを組んで歩くと面白い。ファッション、グルメ、不動産など各分野の経験者がそれぞれの見方を解説するとお互いの知識を深める良い機会になる。
四季の変化:季節の移り変わりによる風景の変化には多くの人々が関心を持って街歩きの大きな動機になっている。都内のさくらの名所としては千鳥ヶ淵、靖国神社、青山霊園などがあるが、これらには日清、日露、第1次、第2次大戦の軍人のお墓が多く国の為に命を捧げた人々であることが分かる。また、紅葉の名所は旧大名庭園、財閥庭園が多く有名な庭師に造らせ、管理に大きな費用を払った大名、富豪達の苦労がある。千鳥が淵緑道さくら、小石川後楽園入口、いちょう並木、
地形の変化:東日本大震災の経験から東京の地形に関心を持ち自宅が昔どういう地形の中にあったかと古地図を見る人々も多くなった。江戸時代には徳川家康により大規模な工事が行われ、それまでは海岸線であった八重洲、日比谷、新橋が埋立てにより出来て、更に明治以降には東京湾沿岸には月島、勝どき、晴海、豊洲と埋立てが行われている。また、東京オリンピックの際は多数の川が暗渠になり、あるいは埋め立てられて地図上からは見えなくなっている。帝国ホテル(日比谷入江)、月島-佃公園、勝鬨橋、御茶ノ水駅より聖橋方向、渋谷ヒカリエ、
水道:東京における水道は江戸の拡大に伴う水供給工事で神田上水が原点になる。神田上水は江戸で最初に設けられた水道で井の頭池を水源とし、神田川を経て、江戸城をはじめ神田・日本橋・両国・永代あたりまでの地域に上水を供給した。玉川上水、千川上水、 神田上水と芭蕉、神田上水取水口大洗堰跡、神田上水(江戸東京博物館)、木樋、神田川と隅田川、
歴史:徳川家康が1603年に江戸開府以来、1868年明治維新で新政府に切り替わるまで265年間に亘り徳川幕府が続き、明治維新以来2013年まで145年経った今でもその影響は強く残っている。明治に入って日本の近代化に大きく貢献した地域としては築地の外国人居留地がある。徳川幕府と東京、築地-蘭学発祥の地-佃公園、
地域特性:東京には三田綱町の丘の上のように大名屋敷跡や財閥の倶楽部がある地域と、浅草から三ノ輪にかけての吉原の遊女達の薄幸の人生を語る地域などが混在している。麻布十番-三田綱町-三田、TX浅草-一葉記念館-三ノ輪、
住居・店舗:あまり関心を呼ぶことはないと思うが、実は街歩きの中でこれが一番面白い。建物を見ればそこに住んでいる住人の性格、年収、年齢などが推定出来、店舗を見ると儲かる店舗か、儲からない店舗か、どうすれば儲かる店舗になるかなどが検討できる。不動産関係者が良く見ているのは新しいファッションビルではなく、古ぼけて今にも崩れ落ちるような家やビルで、それが一等地であればなおさらになる。両隣のビルの階数や建蔽率を見れば古いビルの価値が予想出来るからで、このように不動産の専門家が街歩きに参加すると面白い意見が聞ける。
交番・防犯:日本の交番システムは良く出来ていて海外にもそのシステムが輸出されている程である。これは単にお巡りさんが街を見ているからではなく、人間の体中に神経が張り巡らされているがごとく、必要な情報が縦横に細かく分担された地域に瞬時に連絡されているからである。また、防犯の専門家であれば住居、ビルの弱点を見抜くことは容易である。
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